YouTube広告は、リスティング広告などクリックされるのを待つ受動的な広告とは異なり、YouTubeの視聴者に能動的に広告を配信することで、商品やサービスの魅力を伝えることができるメリットがあります。
そして、YouTube広告の効果を上げるうえで大切な設定が「ターゲティング」とても大切です。
・広告を出しているけど、思うように効果が出てこない
・広告を届けたいユーザー層に届いているか不安だ
という場合は、ターゲット設定が適当だったり、理解が不十分で適切におこなわれていないケースが多くあります。この記事では、YouTube広告の効果を上げるためのターゲティングについて、各ターゲティングの特長と、目的に合わせたターゲティング設定の考え方について解説しています。
Table of Contents
ToggleYouTube広告のターゲティングとは?
YouTube広告のターゲティングは、特定のユーザーに対して広告を最適化して配信するために大切な設定です。これにより、広告主はその広告が関連性のあるユーザーに到達し、より良い広告パフォーマンスを達成することができます。ターゲティングの戦略にはいくつかの要素が関わりますが、主にパーソナライズド広告とプライバシー設定が中心になります。
パーソナライズド広告とプライバシー設定
パーソナライズド広告では、ユーザーの過去の検索履歴、視聴履歴、興味関心、デモグラフィックなどのデータを利用して、それぞれのユーザーに最も関連性の高い広告を表示します。これにより、広告はより個人的で関連性が高くなり、ユーザーのエンゲージメントが向上します。
しかし、プライバシー設定も非常に重要で、ユーザーは自分のデータがどのように使用されるかをコントロールできます。YouTubeは、ユーザーのプライバシーを尊重し、パーソナライズド広告の設定をカスタマイズできるオプションを提供しています。これにより、ユーザーは自分のデータの使用方法を理解し、必要に応じてプライバシー設定を調整することができます。
なぜターゲティングが重要なのか?
ターゲティングは、広告の効率性と効果性を大きく向上させるために不可欠です。適切にターゲティングされた広告は、関連性のあるユーザーに到達し、無関係な視聴者に対する広告支出の無駄を減らします。このようにして、広告主は広告予算のROI(投資収益率)を最大化し、ブランド認知度の向上、リードの生成、売上の増加など、具体的なマーケティング目標の達成に近づけます。
さらに、ターゲティングはユーザー体験を向上させます。ユーザーは自分の興味やニーズに関連する広告を見ることを好み、不適切なターゲティングによる不適切な広告は、ユーザーのエンゲージメントを低下させる可能性があります。適切なターゲティングにより、広告は価値を提供し、ユーザーとのポジティブな関係を築くことができます。
YouTube広告のターゲティングの種類
YouTube広告を効果的に利用するためには、異なるタイプのターゲティング戦略を理解し、適切に活用することが重要です。主に2つのターゲティング方法があります:オーディエンスターゲティングとコンテンツターゲティング。以下の表は、これらのターゲティング方法の概要を示しています。
ターゲティングの種類 | 説明 | 利点 |
---|---|---|
オーディエンスターゲティング | 年齢、性別、興味・関心、購買行動などのデータに基づいて特定のユーザーグループをターゲットにすることができる | ・広告に関心を持ちそうなユーザーに広告を表示できる ・特定のニーズや興味を持つオーディエンスに焦点を充てることができる |
コンテンツターゲティング | 特定のYouTubeチャンネルや動画、またはキーワード、デバイス等に基づいて広告を表示することを選択できる | ・広告が表示されるコンテンツの種類を設定できる ・特定のトピックやコンテンツに関心を持つユーザーにアプローチ可能 ・コンテキストに合わせた広告配信で関連性とエンゲージメントを固める |
オーディエンスターゲティング
オーディエンスターゲティングでは、ユーザー自体をターゲティング設定することができます。主なオーディエンスターゲティングの項目は以下のようなものがあり、そこから絞り込むことができます。
ユーザー属性グループ
広告を表示したいユーザー層の年齢や性別、子どもの有無や世帯収入などの情報を指定できます。
詳しいユーザー属性
詳しいユーザー属性では、ユーザー属性グループの設定に加えて、さらに詳細な情報を設定できます。
例えば、大学生、住宅所有者、最近子供が生まれたユーザーなど、共通の特徴を持つユーザー層にさらに幅広くリーチできます。
興味・関心
表示されたカテゴリーからトピックを選択して、そのトピックに関心があるユーザーをターゲットに設定できます。また、そのユーザーが別のトピックに関連するページにアクセスしているときでも広告を表示することができます。
- アフィニティ セグメント: 関連するトピックにすでに強い関心を持っているユーザーに動画広告を表示して、ブランドの認知度を高めたり購入を促したりできます。
- カスタム アフィニティ セグメント: カスタム アフィニティ セグメントを利用すると、テレビ広告のように広い範囲ではなく、ブランドに合わせてよりターゲットを絞ったアフィニティ セグメントを作成できます。たとえば、ランニング シューズを販売している企業が「スポーツファン」ではなく、「熱心なマラソン愛好者」にリーチしたい場合などに利用できます。
- ライフイベント: 引越し、大学卒業、結婚などの人生の節目において、購入行動やブランドの好みが変わるとき、YouTube や Gmail で見込み顧客にアプローチできます。
- 購買意向の強いセグメント: 広告主様が提供するサービスや商品に似たものを調べている、あるいは購入しようと積極的に考えているユーザーを見つけるには、このカテゴリーを選択します。
- カスタム セグメント: パフォーマンス広告での使用を想定した機能です。最近 Google 検索で使用した検索語句に基づいて、購買決定プロセスのさなかにいるユーザーにアプローチできます。
データ セグメント(リマーケティング)
YouTube チャンネルを Google 広告アカウントとリンクすることにより、広告主様の動画、動画広告、YouTube チャンネルとの接触履歴をもとに、YouTube および Google 動画パートナーでさらに多くのユーザーにリーチできます。また、広告主様のサイトやアプリと接触したことがあるユーザーに向けた広告を表示することも可能です。
カスタマー マッチ
カスタマー マッチでは、オンラインやオフラインの自社データを使用して、YouTube と Google 動画パートナーを利用しているユーザーにリーチしたり、再アプローチしたりできます。
類似セグメント
自社データリスト(通常はデータ セグメントやカスタマー マッチ セグメント)に基づくターゲティング機能で、データ セグメントまたはカスタマー マッチ セグメントと似た特徴を持つ新規ユーザーをターゲティングすることにより、最も成果の高いユーザーにより多くリーチすることができます。
コンテンツターゲティング
もう一つのターゲティングがコンテンツターゲティングです。これは広告の表示場所を指定(あるいは除外する場所を指定)することができるターゲティング設定です。コンテンツターゲティングには4つの項目があり、細かく設定することで、より興味や関心の高いユーザーに広告配信をすることができます。
プレースメント
プレースメントでは、広告を配信するチャンネルや動画を指定できます。また、アプリ、ウェブサイト、サイト内のプレースメントをターゲットに指定することもできるので、ユーザー属性では指定できないターゲットにリーチすることも可能です。
ただし、プレースメントを活用する際には、各動画やチャンネルがどのような層に視聴されているかを事前に調査しておくことが大切です。
トピック
トピックでは、広告を表示するページのトピック(コンテンツ内容)を指定して関連性の高いコンテンツに広告を配信することができます。例えば、自動車ドレスアップパーツの広告であれば、「自動車」トピックをターゲット指定することで、自動車に関する動画を視聴しているユーザーに広告を配信することができます。
キーワード
キーワードでは、指定したキーワードに関連する動画やYouTubeチャンネル、ユーザーが関心を持ちそうなウェブサイトに広告を配信することができます。
デバイス
デバイスでは、パソコン、スマートフォン、モバイルデバイス、テレビ画面を使用するデバイス(Chromecastなど)を使用するユーザーをターゲットに設定します。スマートフォンのみといった、特定のデバイスのみに配信といった設定が可能です。
ターゲティングが合っていないとどうなるか?
ターゲティングが適切でない場合、YouTube広告キャンペーンは多くの問題が出てくる可能性があります。ターゲティングの誤りは、広告の効率性と効果性に大きく影響し、以下のような結果を招くことがあります。
1.エンゲージメント率が低くなる
説明: ターゲティングが適切でない場合、広告は関心のない視聴者に表示されることが多くなります。その結果、クリックスルーレート(CTR)や視聴率が低下し、広告の全体的なエンゲージメントが低くなります。
影響: エンゲージメントの低下は、広告のパフォーマンスを直接的に損ない、広告キャンペーンのROIを下げる原因となります。
2.広告費用が無駄になる
説明: 関連性の低い視聴者に広告が表示されると、広告費用が無駄に消費されます。適切なターゲットに到達していない広告は、投資に対する適切なリターンを生み出すことができません。
影響: 広告予算の浪費は、特に予算に限りがある小規模なビジネスやスタートアップにとって大きな問題となり得ます。有効なターゲットにリーチできず、広告予算が効果的に使用されないことで、広告キャンペーンの成功が妨げられます。
3.ブランドイメージの損傷
説明: 関連性のない広告は、ユーザーにとって迷惑となることがあります。不適切なターゲティングにより、ブランドに対するネガティブな印象を持つユーザーが増える可能性があります。
影響: ブランドイメージの損傷は、長期的に見ても顧客基盤の縮小やブランド価値の低下につながる可能性があります。ユーザー体験を損なう広告は、ブランドロイヤリティを減少させる要因となります。
4.コンバージョン率の低下
説明: ターゲティングが合っていないと、広告がコンバージョンを促進する可能性のある関心の高いユーザーにリーチすることはほとんどありません。これは、最終的なコンバージョン率の低下につながります。
影響: コンバージョン率が低下すると、広告キャンペーンの目的を達成することが困難になります。これは、売上の減少やマーケティング目標の達成の遅延を意味します。
ターゲティングが適切でない場合の影響は、広告キャンペーンの効果に大きな悪影響を与えるため、正確なターゲティング戦略の選択と実装が極めて重要です。
適切なターゲティングにより、広告のパフォーマンスを最大化し、広告予算の効率的な利用、ブランドイメージの向上、およびコンバージョン率の増加を実現できます。
広告目的別 ターゲティングの選び方
YouTube広告キャンペーンを成功に導くためには、広告目的に合わせたターゲティング戦略を選択するように意識しましょう。
以下では、異なる広告目的に応じたターゲティングのアプローチについて説明していますので、参考にしてください。
認知を拡大したい場合
目的
ブランドや製品の認知度を高め、より多くの人々に自社を知ってもらうこと。
ターゲティング戦略
広範囲のデモグラフィック: 年齢層、性別、地域など、広い範囲のデモグラフィックをターゲットに設定します。
興味・関心ターゲティング: 関連性のある興味や関心を持つユーザー群をターゲットにしますが、比較的広範囲に設定して、新たな顧客層への露出を増やします。
トピックターゲティング: 広告を表示するYouTubeのトピックを広範囲に選択し、多様な視聴者にリーチします。
比較・検討を促したい場合
目的:
製品やサービスの比較検討段階にある潜在顧客に対して、情報提供を行い、選択肢の一つとして考慮してもらうこと。
ターゲティング戦略:
興味・関心ターゲティング: 特定の製品カテゴリーやサービスに既に関心を示しているユーザーをピンポイントでターゲットにします。
キーワードターゲティング: 製品やブランド、競合と関連するキーワードに基づいてターゲティングを行います。これにより、比較検討段階にあるユーザーにリーチします。
リマーケティング: 既に自社のサイトを訪れたことがあるユーザーや、過去に特定の製品を閲覧したユーザーをターゲットにします。
お問い合わせや購入につなげたい
目的
意思決定の最終段階にある潜在顧客にアクションを促し、実際のお問い合わせや購入に結びつけること。
ターゲティング戦略:
リマーケティング: 製品ページを訪れたり、カートに商品を追加したが購入に至らなかったユーザーを再ターゲティングします。
カスタムオーディエンス: 特定のアクションを取ったユーザーや、顧客リストに基づいたターゲティングを行います。これにより、高い購買意欲を持つユーザーにダイレクトにアプローチします。
購買意向ターゲティング: 特定の製品やサービスの購入を検討していると予測されるユーザー群をターゲットにします。
広告をおこなう目的に合わせたターゲティング設定をすることで、広告の効果を最大化し、具体的なビジネス目標の達成に近づくことができます。広告主は、目的に応じてこれらのターゲティングオプションを組み合わせ、指標を確認しながら調整することが重要です。
YouTube広告ターゲティングの注意点
最後に、YouTube広告でのターゲティングの際の注意点について触れておきたいと思います。YouTube広告を効果的におこなうには、以下に示す注意点を確認してターゲティング設定に活かしていきましょう。
広告の目的を明確にする
広告の成否を分ける要素の一つが「明確な目的の設定」です。目的が明確でないと、適切なターゲティングを設定することは難しくなります。
広告開始前に、目的を具体的に定義しましょう。例えばブランド認知の向上、リードの獲得、直接的な販売促進など、何を目指しているのかを明確にするようにしましょう。
ターゲットを絞りすぎないこと
ターゲットを過度に絞り込むと、潜在的な顧客を逃す可能性が高くなります。また、広告の配信先が極端に限定されるため、効果的な結果が得られないことがあります。
バランスの取れたプローチを心がけ、広すぎず狭すぎずといったターゲット設定を意識していきましょう。そのためには広告配信設定の改善を繰り返しながら、最適なターゲティングを見つけていくことが大切です。
フリークエンシーキャップの設定
フリークエンシーキャップとは、広告が同じユーザーに表示される回数を制限する制限する機能です。同一ユーザーに対する広告の表示回数が多すぎると、場合によってはブランドや商品/サービスに対するネガティブなイメージが強くなってしまいます。
フリークエンシーキャップを適切に設定して、1日に1~3回程度に設定するようと良いでしょう。
検証期間や検証するための指標を決める
広告の効果を正確に評価するためには、適切な検証期間と指標の設定が大切です。最適なターゲティング設定は1回でできるものではありません。広告を運用しながら改善していくことが、成果への近道です。
そのためには、検証期間を事前に決めておくと同時に、分析や評価の判断のための指標も決めておくことが大切です。
まとめ
この記事では、ターゲティングの種類やターゲティングの重要性、目的に合わせたターゲティング設定、そしてターゲティングの注意点など、YouTube広告のターゲティングについて開設してきました。
最初から理想通りにターゲティングすることは本当に難しいと思いますが、広告を一度出したら出しっぱなしではなく、常に効果の検証をしながら改善を進めることで、自社の広告目的にあったターゲティング設定ができるように取り組んでいくことが大切です。
しかし、実際には非常に手間のかかる作業です。特に中小企業や小規模事業者の場合は、そのためのリソースがない、わかっていてもそこまで時間を割けないという実情もあるのではないでしょうか。そういった場合は、YouTube広告の運用を外部に委託することも選択肢の一つです。
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